紅き者、其の名は絶対の死(前編)









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剣がなくなった?



それって、この前の剣のこと?



あん?
たしか依頼達成の報告中に来た衛士に預けたよな?


ああ、公女からのたっての願いだった。



あの剣を調べれば、古い文献の情報を新たに得られるかもしれない...
そういうお話でしたよね。


調査が終わったらちゃんと返すって言われたし、
マスターも「公女様なら悪いようにはしねえだろ」って...


そのマスターが公宮に用事があった時に尋ねたらしい。
剣の研究は進んでいるかと。


...えーっと?



オイオイ、こりゃあ...やられたか?



いや、大臣は
「冒険者ギルドに行けば、遺失物として届けられているかもしれない」と。


は?
待て待て、その考えはおかしいだろ。


おれたち少なくとも衛士の恰好した誰かに、確かに渡してるんだけど...



僕に言われても困る。
とにかく冒険者ギルドに行ってみよう。

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いらっしゃいました。



こんにちは。
エクレアちゃん、今日はここでお店をしているんですか?


そうじゃないって言ってるだろっ。
なんか、すごく慌ててるみたいだね...


深呼吸、した方がいい。
す〜、は〜...


落ち着いた?
1つ1つ話せばいいから。


そんで、一体どうしたってんだ。



森...ねえ。



それって世界樹に入ったってこと?
どうも、ただの散歩ってワケじゃなさそうだな...


他に何か気になることはなかったか?



光る、剣...



そういうことか。



ホレス!?



ホレス様、ギルド長...
マリオン様の断ち切りたい過去、赤の樹海といいますと...


かつて最強のギルドを壊滅させた怪物、地熱上昇の原因だろう。
よく経緯は分からないが例の剣もギルド長が持っているらしい。


あの剣でもって怪物を討とうってのか?
無茶するねえ...


無茶なんてモンじゃないだろ、オッサン!
どう考えても無謀だって!


わーってるよ、こいつは急いだ方が良さそうだな。



任せろ。



それでは、私たちも世界樹へ向かいましょう。
場所は第二階層だったはずです!


9F...隠しエリア。



そこが「紅王の寝所」だろう。


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ここか...
ッ!?


オイオイオイ...



マリオン様、本当にたったお1人で...!?



あの剣、おれたちが衛士に預けたはずの...
っていうか赤い竜!?


みんな頼む!



うわっ、おいホレス!?



チッ、お前ら!
ホレスが注意を逸らしてる内にギルド長を回収すんぞ!!


はっ、ハイ!!



う...すごく、興奮してる...



ギルド長、落ち着いて!
早くしないとアイツが...わあっ!?


なんだ...アイツ?
吼えるだけで攻撃してこないのか?


...クロエたち、取るに足らない存在?



そう認識されているみたいだな。



ホレス様!
お怪我は...!?


大丈夫だ。
今のうちにギルド長をここから連れ出そう。


おう、このままここに放置したら、また竜に挑んじまうだろーし...
よっ!!


イヤすみませんギルド長!
暴れないで!


...鎧、重い...


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...傷は浅いようだな、ギルド長?
そう睨むなよ。


とりあえず剣は返してもらいます。
...。


この剣は、やっぱり...
だけどどうして...?


...。



...マリオン様...



よく分かんないけど、ギルド長は心の底でずっと敵討ちを考えてて...
おれたちが手に入れたこの剣を探してたってこと?


この剣が俺たちの手元にあることを知って、気持ちが抑えられなかったんだな。
しかしコイツがそんな大層なモンだったとは。


竜の喉元に、刃を突き立てられる剣...



こんな事になるなら錆びたままにしとけば良かったよ。
いや、じゃなくて...


...ホレス様、私...!



一緒に戦おう、マリオン。





そう言った。
あなたにその気があればだが。


そうです!
相手がどんなに強大でも、みんなで力を合わせれば勝てるはずです!!


あれを倒して、前に進む。
みんないいか?


...ったく、薄々こんな流れになるんじゃねーかと思ったぜ。



あんなの、ただのトカゲ。



そうだな、もう氷竜も金竜も倒してるんだ...
きっとあの赤い竜だって倒せる!


あんなの、ただのトカゲ。



僕たちは決まりだ。
どうだろう、マリオン。


...。


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新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士