大公宮のお抱え学者じゃ原因が分からず、
他のギルド連中が調査に行っても手掛かりナシだとよ。
でもなんか、冒険者ギルドのギルド長なら何か知ってるみたいだな。
マスターはおれ達なら話が聞けるかもって...
さあ...?
そもそも、全部が「らしい」とか「多分」の話だし。
調査に向かったギルドの誰かがギルド長に話を聞きに行って、
何か知っていそうだと思ったらしい。結局何も引き出せなかったが。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
何でだよ。
ええーっと、おれたち、酒場で依頼を受けたんです。
・
・
・
もう何年も昔のことだ。
先の話と同じように9階で地熱の上昇が確認されたことがあった。
その時もいくつかのギルドが仕事を請け負ったが、
現在と同様に原因を究明するには至らなかった。
そして、最後に1つのギルドがその地熱上昇の調査に乗り出した。
調査に行ったのは、私とその仲間...
当時では最強といわれたギルドで、公国最強と呼ばれた精鋭だった。
私たちのギルドは調査を重ね、
9階の隠された森に原因があると結論付け、行動した。
そしてその道の先にある最奥の広間を調べていた時の話だ...
ほんの一瞬だった。
突然吹いた突風と熱が我々を襲い、気付けば仲間が1人、倒れていた。
我々は応戦した。
視界を覆う真紅の翼、漆黒の鋭い角、幾重にも突き出た棘...
仲間は次々と倒れていった。
尾に砕かれ、爪に切り裂かれ、炎に焼かれていったのだ。
私たちに為す術はなかった。
どんな武器も効かず、どんな術式も通用しない。
残ったのは私だけだ。
私は半身に生涯消えぬ爪痕と...この顔の傷を負った。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
第二階層10F。
この扉から最奥を目指せば、俺らの目的に辿りつくとよ。
とりあえずこの10F部分は地形が入り組んでいるだけだな。
出現するのは第二階層の魔物だが、この「ディノティラノ」は新種だ。
コイツの行動パターンはほぼ全体攻撃+呪い付与だから、
嬢ちゃんの「予防の号令」と俺の「トラッピング」で楽に倒せるぜ。
呪いを付与してくる相手って、全属性が弱点とか多いんだよな。
こっちの自滅狙いなんだろうけど。
あの状態だとこっちを追ってくるな。
移動タイプも1度に2マスずつになるみたいだ。
こうなると一気に手強く見えるじゃねえの。
ったく、また厄介なFOEだぜ。
でも時間が経つと冷えてまた小さくなるみたいだから、
適当に左右移動して時間をかせいで、小さくなったら叩けばいい。
巨大化した状態でも、頭封じからラッシュを仕掛ければ何とか倒せるな。
条件ドロップは「火属性攻撃でトドメ」だと思う。
僕のフォースブレイクが三属性複合だから、それで楽に条件を満たせる。
そしてそのドロップ品から僕専用の軽鎧が作成できるみたいだ。
ワイバーンの通常ドロップで強い刀も店に並んだし、ホレスが一気に強くなれそう。
...高くて買えないけれど。
条件ドロップはひとつで十分だ。
あとは小さい状態で倒していこう。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
やれやれ...この辺りは相当気温が上がってやがるな。
オッサンには辛いぜ。
地面も燃えてるみたいに熱いし、
回りの空気も遠くが揺らぐくらいの熱気を帯びてるぞ...!
お前ら、油断すんなよ?
ギルド長の話じゃ相手はいきなり現れたらしいからな...
でも何もないより良い。
他に有用そうなものも、特に見当たらない。
この石版について何か知っているとすれば...
やっぱりギルド長マリオン様でしょうか?
だろうな。
ここでの調査は終わりにして、冒険者ギルドに向かうか。