古き傷痕の主


樹海の地熱が上昇する原因の調査...ですか?



大公宮のお抱え学者じゃ原因が分からず、
他のギルド連中が調査に行っても手掛かりナシだとよ。


でもなんか、冒険者ギルドのギルド長なら何か知ってるみたいだな。
マスターはおれ達なら話が聞けるかもって...


成程、それなら冒険者ギルドに行ってみよう。



分かった。
でも、何でギルド長?


さあ...?
そもそも、全部が「らしい」とか「多分」の話だし。


調査に向かったギルドの誰かがギルド長に話を聞きに行って、
何か知っていそうだと思ったらしい。結局何も引き出せなかったが。

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秘密で。



何でだよ。
ええーっと、おれたち、酒場で依頼を受けたんです。




ギルド長様、何か御存知なのですか?




もう何年も昔のことだ。
先の話と同じように9階で地熱の上昇が確認されたことがあった。

その時もいくつかのギルドが仕事を請け負ったが、
現在と同様に原因を究明するには至らなかった。

そして、最後に1つのギルドがその地熱上昇の調査に乗り出した。

調査に行ったのは、私とその仲間...
当時では最強といわれたギルドで、公国最強と呼ばれた精鋭だった。



ギルド長もギルドに所属していたのか。



最強って、すごいな...!



今そのギルドは?




私たちのギルドは調査を重ね、
9階の隠された森に原因があると結論付け、行動した。

そしてその道の先にある最奥の広間を調べていた時の話だ...





ほんの一瞬だった。
突然吹いた突風と熱が我々を襲い、気付けば仲間が1人、倒れていた。

我々は応戦した。
視界を覆う真紅の翼、漆黒の鋭い角、幾重にも突き出た棘...

仲間は次々と倒れていった。
尾に砕かれ、爪に切り裂かれ、炎に焼かれていったのだ。

私たちに為す術はなかった。
どんな武器も効かず、どんな術式も通用しない。

残ったのは私だけだ。
私は半身に生涯消えぬ爪痕と...この顔の傷を負った。



! ...。



...その「奴」ってのが地熱上昇の原因なのか?


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第二階層10F。
この扉から最奥を目指せば、俺らの目的に辿りつくとよ。


鍵のかかった扉の先か...



この奥に一体なにが待っているのでしょう?



ギルド長の話を聞くと、すごく強い魔物がいそうだけど。



...。



とりあえずこの10F部分は地形が入り組んでいるだけだな。
出現するのは第二階層の魔物だが、この「ディノティラノ」は新種だ。


コイツの行動パターンはほぼ全体攻撃+呪い付与だから、
嬢ちゃんの「予防の号令」と俺の「トラッピング」で楽に倒せるぜ。


呪いを付与してくる相手って、全属性が弱点とか多いんだよな。
こっちの自滅狙いなんだろうけど。


10Fから降りて9F、ここが目的のフロアですね。



ゲッ、降りて早々にFOEがいるじゃんか。



でもあのFOE...



...なんか、弱そう。



いや待て、ありゃあ...



まあ、おっきくなりました!



トカゲが吹いた火を受けて巨大化したのか!?



あの状態だとこっちを追ってくるな。
移動タイプも1度に2マスずつになるみたいだ。


こうなると一気に手強く見えるじゃねえの。
ったく、また厄介なFOEだぜ。


でも時間が経つと冷えてまた小さくなるみたいだから、
適当に左右移動して時間をかせいで、小さくなったら叩けばいい。


そうだな、地道に倒していこう。



この状態だと、楽勝。



巨大化した状態でも、頭封じからラッシュを仕掛ければ何とか倒せるな。
条件ドロップは「火属性攻撃でトドメ」だと思う。


僕のフォースブレイクが三属性複合だから、それで楽に条件を満たせる。
そしてそのドロップ品から僕専用の軽鎧が作成できるみたいだ。


ワイバーンの通常ドロップで強い刀も店に並んだし、ホレスが一気に強くなれそう。
...高くて買えないけれど。


条件ドロップはひとつで十分だ。
あとは小さい状態で倒していこう。

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うっ...?
なんだ、この暑さ...


やれやれ...この辺りは相当気温が上がってやがるな。
オッサンには辛いぜ。


この扉、すごく熱を発してる。
この先に何かありそう。


...かつて最強のギルドを壊滅させた魔物でしょうか?



分からないが、警戒はしよう。
扉を開けるぞ。


ネツキタ...



地面も燃えてるみたいに熱いし、
回りの空気も遠くが揺らぐくらいの熱気を帯びてるぞ...!


十中八九、ここが地熱上昇の原因だろうな。



...でも、何もいない?



今のところはそうだな。



お前ら、油断すんなよ?
ギルド長の話じゃ相手はいきなり現れたらしいからな...


...あら?
ここに何かが落ちています。


これは石版か?



丸みを帯びてて、ひと抱えもある。
大きい...


どうやらこれが唯一の手掛かりみたいだな。
回収しよう。


え?
けど、これが何の役に立つかサッパリ分かんないぞ。


でも何もないより良い。
他に有用そうなものも、特に見当たらない。


この石版について何か知っているとすれば...
やっぱりギルド長マリオン様でしょうか?


だろうな。
ここでの調査は終わりにして、冒険者ギルドに向かうか。

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